Tokyo Recluse

大人がちょっと冒険したくなる話。

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アトランタで黒人のおばさんにありえない絡み方をされた話(2/2話)

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アメリカのアトランタで黒人のおばさんに絡まれる話の続き。

 

前回の話はこちら。

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おばさんが何を言ってるのかほとんど分からなかったけど、それでも少しづつ会話は成り立ってきていた。なんとなく把握したところだと、どうやらおばさんはすぐそこのコンビニまで行くところらしく、「お前さんも一緒に来てなんか買ったらどうだい?」みたいなことを言っている。

 

 

見ず知らずの僕をわざわざコンビニに誘うものか?という疑問はあったけどまあ時間はまだまだある。長時間歩いてノドも乾いたしお金は使いたくないけどジュースくらいは買ってもいいや。と感じで、そのままおばさんと並んでコンビニへと向かったのである。 

 

 

 

コンビニはすぐそこだった。コンビニといっても日本のそれとは違って個人で経営しているいわゆる売店みたいなミニショップである。おばさんに続いて中に入るとすぐ横にレジが見えた。檻みたいな鉄格子で覆われているタイプのレジで、檻の中には20代後半のアメリカ人らしき男店員がいる。

 

このタイプのレジは治安の良い日本ではまず見られないけど、実はアメリカでは別に珍しいものではない。強盗に襲われないように店員が柵で守られている。お客さんがお金を払う時は格子の隙間からお金を渡すシステムである。

 

そもそも遠目で見たあのガラ悪い黒人たちが来るような地域のコンビニである。これくらいセキュリティ対策がほどこされていても別に驚きはない。

 

黒人のおばさんは店内に入るとすぐに、入り口付近に設置してあるアイスボックスみたいなやつを開けて物色しはじめた。

 

僕はジュースを買うつもりだったので、コンビニの奥にある冷蔵庫までジュースを取りに行った。コーラのペットボトルを1本つかんでレジに向かった。

 

 

 

レジの店員さんにコーラを買うことを伝えてHow much?と聞いてから財布からお金を出そうとしていると、アイスボックスにいたおばさんが近づいてきた。

 

おばさんが手に持っているのはコップは、先にお金を払ってドリンクバーみたいなやつでセルフでジュースを入れるやつだった。

 

 

コップを片手に僕に言ってきた言葉は、

 

 

 

 

「じゃあ、私コレで。」

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

よくわかりません。みたいな顔をしていると、

 

 

 

 

「だから、私はコレで。」(2回目)

 

 

はい?

 

 

 

いやいや、完全におかしいでしょ。

 

なんで俺が買うのに便乗してアンタのも一緒に買わなきゃいけないのよ。店員の男もポカンとしている。

 

あれっ?もしかしてそういうアメリカンジョーク?冗談の可能性もあるので、僕はただ笑って「ノー!ノー!」と答えた。

 

 

 

するとおばさんの顔色が急に変えて大声をあげた。

 

 

 

 

おばさん:「何言ってんの!あなたさっき買ってくれるって言ったじゃない!」

 

僕:「ええーー!どういうことですかーー?!」

 

 

 

 

つまり、こういうことである。このコンビニに来るまでに二人で歩きながら話していた会話がこうだった。

 

おばさん:「あー、暑いからめっちゃ喉渇いちゃったわぁ。ちょっとそこのあんた、そこのコンビニでさぁ、あたいにジュース買ってくんない?」

 

僕:「(よくわからないからノリノリで)YES!YES!」

 

 

 

うわああ、やってしまったああ。俺そう言ってたんだぁ。ぜんっぜんっわかんなかった。

 

 

何言ってるかわかんないからイエスって言っちゃった・・。すごく軽快なノリでイエス出しちゃった・・。

 

でも、俺良いって言っちゃったんだもんね。仕方ない。やっぱここは黙ってお金だして買ってあげる、、

 

 

 

 

 

 

ワケねぇだろ?

 

 

いや普通におかしくね?ジュースは買ってもらえませんから。

 

 

全く知らない赤の他人にいきなり話しかけて、

 

「こんにちは。今日は暑いですね。ちょっと私にジュース買ってくれませんか?」

 

「イエスイエス!」

 

ってなるやつ、どこの世界にいるんですか?それがアメリカなんですか?

 

 

と、言いたい事はいっぱいあったが、ここは全く知らないアトランタという地である。揉め事は御免だ。僕は全力で弁解した。勘違いさせたことを謝った。もしかしたらさっきそういう風に思わせてしまったのかもしれないけど、それは僕が英語がわからなかったからなんだ。ごめんなさい。学生で貧乏旅行している身なので、あなたにジュースを奢ることはできないんです。と。

 

 

 

 

しかし怒れるおばさんには全くもって響かなかった。彼女は鳴り止まない。

 

 

 

 

 

 

おばさん:「冗談じゃないわよ!買うって言ったんだから約束通り私にジュース買いなさいよね!!」

 

いよいよおかしなことになってきたぞ。というか誰が見てもおかしなやりとりである。

ありがたいことにレジの店員が見るに見かねて僕に助け舟を出してくれた。

 

 

 

店員:「君、ジュース買ってあげるなんて言っての?」

僕:「いや言ってないです。。」

 

 

 

 

 

おばさん:「いや!あなたは言ったわよ!私にジュースを買うって言ったのよ!」

 

どうみてもこのおばさんが狂っているのは明白だった。ていうかおばさん声デカすぎるよ・・。キレすぎだよ・・。てか迫力がやばいよ。

 

店員は僕が完全にカモられそうになっているという状況を把握してくたようで、そこからは僕側に回ってくれた。

 

 

 

 

そしてあろうことか、そのまま店員とおばさんがバトルモードに突入する。

 

ラウンド2。ファイッ。

 

 

 

 

 

 

店員:「だからこいつは買うなんて言ってないんだよ!」

 

おばさん:「言ったのよ!この日本人は嘘つきなのよ!」

 

店員:「知らねーよ!もうお前でてけ!」

 

おばさん:「キイイイイイイイィエエエエ!!」

 

店員:「警察呼ぶぞ!」

 

 

 

こんな感じのやりとりがしばらく続いた。。

 

 

店員に出てけと連呼されると、ついにおばさんゴチャゴチャと言いながら手にもっている紙コップを店員に投げつけた。

 

 

 

 

紙コップが跳ね返って地面に転がる。

 

 

 

 

店員:「このBitchが!!!(クソババア的な)」

 

店員が吐き捨てると同時に、おばさんはコンビニから外へ出て行った。

 

 

 

いや、まじで怖いわアメリカ。

 

 

もう日本人的にはツッコミどころが多すぎてワケがわからなかった。

まず知らない人にジュース買わせようとしないしね。仮にそれをしたとして相手に断られて逆ギレしないしね。ましてや店員にまで言われてんのにさらにその店員につっかかるなんで、ジャインアンかよ。って思いましたね。いや、ジャイアンでもそんなことしないか。

 

 

でも、ひとまず僕は救われた。この店員さんが僕を救ってくれた。

 

 

僕は店員さんに精一杯の感謝をつたない英語で伝えた。そして店員さんも「あいつ頭おかしいよな。君ももっと気をつけるんだよ。」と励ましてくれた。ありがたい。

 

うん。やっぱりアメリカのせいではないな。まともな人もいるもんだ。

 

 

そう思えるとだいぶ安心した。

 

 

ひとしきり彼にお礼を伝え、コーラを片手に僕はお店の外に出た。

 

 

よし。バス停まで言って夜までザリガニさんを待つ事にするか。そう思い歩き出した。

 

 

すると目の前に、なんとさっきの黒人おばさんが再登場。

 

 

 

おばさんはさっきのアレでは腹の虫が収まらず、僕が店が出てくるのを待ち構えていたのだ。

 

 

やっべええええ。オワタアアアアア。もう味方いねぇぇ。

 

 

 

僕はもはや立ちすくんだ。

 

そしてラウンド3が始まる。ファイッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

おばさん:「あんたねぇ!よくも騙してくれたわ!だだで済むと思うなよ!」

 

 

 

もう何言ってるかわからなかった。というか何で怒られてるのかもさっぱり分からなかった。

 

 

 

無視して逃げよう、そうしよう。僕は決断した。

 

 

 

しかし、僕が無視をして歩き始めるとなんとおばさんはついてくるではありませんか。

 

 

怒鳴りながら、わめきながら、僕の後ろをついてくる

 

 

 

やばいこの人、完全にぶっ飛んでる。

 

 

 

 

 

もうダメだ・・。

 

 

 

 

僕はあきらめた。

 

 

 

 

 

僕は足を止めて大きく息を吸い込み、振り返った。

そして言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うるせぇんだよクソババア!!!!!

ぶち殺すぞコラァ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏の夕暮れ時、アトランタのバス駅前に僕の声が鳴り響いた。

 

僕の日本語が。

 

いまでもはっきりと覚えている。

 

僕はバリバリの母国語で黒人のおばさんを恫喝した。

 

 

それまで子犬みたいに震えていた日本人の男の子がいきなり目を血走らせてわけわからん言葉で怒鳴りちらしたもんだったから、黒人のおばさんは目をまんまるにして驚き、そして黙ったのであった。そのあと僕についてくることはもうなかった。

 

 

 

そして、このおばさんとの戦争はようやく終わり迎えたのである。

 

 

 

まあ、要するに僕はブチ切れたのである。でも別に悪いとは思っていない。

 

だって仕方ない。

全米が首を傾げるレベルの絡み方してきておいて、それでいてなおもまだキレる。

誰がテメェみてえな見ず知らずの黒ブタにジュース奢るかよ。

寝言は寝て言えよクソババアが。日本人ナメんなよ。

 

 

 

なんてことは決して思ってません。

いくらなんでもそんな物騒な事は思いませんよ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、思ったわ。

てかそう思うだろ普通。

 

 

 

 

とにかくこれで災難は去った。

 

 

僕がその足でグレイハウンドバスの駅構内に入ろうとすると外にいたスタッフに制止された。

 

 

スタッフ:「なんだ君?いまそこで喧嘩してなかったか?揉め事起こす人は入れないよ。」

 

 

 

 

 

一難去ってまた一難。

 

 

僕は再びつたない英語で、揉め事を起こしたのは僕じゃなくてあのクソババアなんだってことを一生懸命説明した。スタッフは理解してくれた。僕の英語力がまた一つアップした。

 

 

バス駅構内に入れたのはよかったものの、時計を見るとまだ16時にもなっていなかった。ザリガニさんがここに到着するのは夜の22時だ。ここからさらに6時間。

 

 

 

でも何して待とう?

 

 

 

何をして待ったかはもう忘れた。

 

ただ、その夜僕は無事にザリガニさんとアトランタで再会するのであった。

 

 

おしまい。

 

 

 

※この話は、僕の若かりし頃の海外放浪経験を面白おかしく語る連載記事です。

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