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PUKAPUKA life

海外と三茶で生活する三十路の自由人の日常

【Vol.1】マジで働きたくないから世界一周の旅に逃げることにした。

世界一周

自分の世界一周の話を物語風につづる第一弾は、世界一周の旅に行くと決めた日の話。

 



僕が親友と2人で旅に出ることになったきっかけは、すごく思いつきでよこしまな発想からだった。




 

 

【Vol.1】マジで働きたくないから世界一周に逃げる



 

あの時何をやっていたのかはよく憶えていないが、シラフだったことは確か。

 

僕が大学3年生を終えようとしていた2009年の2月、周りの意識が高い学生たちは早くも本格的に就職活動に動いていた。一方、ザリガニさんと僕といえばいつものように僕の部屋で夜な夜なくだらない話を交わしていた。

 

ザリガニさんとは、僕と0歳から同じ保育園にいた腐れ縁。ある意味精子時代からの盟友である。性格は真逆だが、考えていることの温度感はだいたい似ている。そしてこの日も同じだった。

 


僕:「いやぁ、就活してますよね、みなさん。」

ザ:「そうっすねぇ。僕らもそろそろやんなきゃですよねー。」




 

ザリガニさんと僕が話すときは若干敬語になる。たぶん高校時代からほとんどのバイト先が一緒だったこともあり、職場でのやりとりが自然になってしまったのだ。
 


 

僕:「なんかやりたいことあるんですか?」
ザ:「いやぁ特にないんですよね、というかそもそも社会人になりたくないんですよね。」
僕:「それわかりますわ〜。そもそも働きたくないですよね。まぁいつかは働かなきゃいけないのはわかるんで、どうせだったら大学卒業して働く前になんか一つくらいは面白いことやっておきたいっすよね。」
ザ:「そうそう、なんかやっておきたいんですよ。ナンカ。」


この日僕らの中は、『いよいよ働くことについて考えなきゃいけない時期になってしまったけど、マジで働きたくないから何か他人に言い訳できるちょうど良い逃げ道を探したい』という点で完全に一致していた。
 
自分達を卑下するつもりはないが、客観的に見ると僕らは学生の中でもかなりのクズの部類に入っていたと思う。この時点で僕は一浪人、ザリガニさんは一留年。学校に行っていないのは当たり前のことだが、日々金銭トラブルに見舞われては借金を抱え、バイトして稼いでは結局パチスロと酒に使って消えるという非生産サイクルの繰り返しだった。この時点でたとえ就職活動をしても、「学生時代は金と時間を浪費することに心血を注いできました!!」としか面接官に向かって自信を持って言えないレベル。僕らには就職活動で企業にアピールできるネタの1つもなかったし、そもそもやりたいことなんて何にもなかった。

 

この間も、ついにザリガニさんの二回目の留年に王手ががかかり、飲食アルバイト先の控え室で頭を抱えながら絶望していた。しかしその姿は、昨年彼の一回目の留年が決まる時のものと全く同じ姿だった。なんなら発言も場所もポーズも完璧に同じだった。もはや狙ってんじゃないかと思った。それを見て、本人の気持ちはさておき僕は腹を抱えて爆笑した。あのときほどデジャブを見たと錯覚したことは今日に至っても未だにない。


僕:「じゃあさ、ザリガニさんは留学とかどうなの?」
ザ:「う〜ん、留学ねぇ。でも3年になっていきなり留学ってなんか就活のネタづくりみたいでカッコ悪くない?しかもたかだか一年留学したくらいで英語できますヅラなんでできる気がしませんよ。」
僕:「確かにねぇ、留学はねぇっすわ。すみません。」


そこから沈黙して、何か『この就活しなきゃいけませんムードから上手く逃げられる方法』はないものかと二人して考えていた。

 

僕といえば、留学だってする気はさらさらないし、かといってたとえ役に立つものでも勉強と名がつく事は面倒なので絶対にやりたくなかった(←やっぱりカス)。多少お金はかかったとしても「楽しくて、そこそこ自分のタメになって、この就活ムードから逃げても人に後ろ指を指されなさそうなもの」でなければならなかった。

 

実は、このことに考えを巡りだした時点で僕はすでに答えを持っていた。そんな三方良しなアクティビティといえばハナっからたった一つしかない。大学1年の時に高橋歩の『LOVE&FREE』を読んで以来ずっと、僕が絶対にウケると思っていたこと。それは世界一周の旅だ。

 

格安の国際航空便が増え、スマホSNSが普及して簡単に情報が収集できるようになった今では世界一周のハードルはだいぶ下がったが、当時は世界一周の旅に出る大学生なんてまず周りにいなかった。だからこそ、これを実行すれば1年くらいは大学生のまま時間を稼げる。1年もあれば、就職活動に求めらる自己分析や、自分がやりたい仕事・向いてる仕事の選別なんて十分にできる。そして何よりも人に語れるネタができる。

 

しかし、これをザリガニさんに提案したら、彼が乗ろうが乗らまいが僕はもうやらなきゃいけなくなると思っていたから、あえてすぐには言えなかった。だって、「世界一周しようよ!」とかいきなり誘っておいて相手が行かないから自分も行きませんとかマジでダサいじゃん?

 

でも、もはやそれくらいしか思いつくものはなかった。

 

僕:「ん〜。では世界一周しかないっすね。」
ザ:「世界一周かぁ。なるほど〜、その手があったんですね。でもできるんすかねそれ?」
僕:「わかんないすけど、歩もやってるからたぶんできんじゃないすかね。」
ザ:「お調べしましょう。」

 

 

iPhone3Gが日本に上陸して間もない時期だったので、スマホなんて持っていない。ザリガニさんは、僕がオンラインゲーム『マビノギ』をするためだけに買ったグラフィックカードの性能以外クソみたいに使えないSharpのノートパソコンで、いくらかの情報収集をしてくれた。

 

ザリガニさんは意外にもあっさり乗ってきた。というかむしろノリノリだった。このお方の頭のネジの外れ方もなかなかのものである。

 

やがてザリガニさんのキーボードカタカタ音が止み、次のようなことがわかった。

 

• ちょいちょい世界一周してる人たちはいるっぽい。
• 世界一周航空券というものがあり、先に旅行ルートとスケジュールを計画できる。
• 滞在国を選んで貧乏旅行をすれば、一年間で100万円以下の予算でいける。
 
僕:「あれ、全然できちゃうじゃん。」
ザ:「全然できそうっすね。」
僕:「じゃあ行っちゃいますか。」
ザ:「そっすね。行きましょ行きましょ。」
 

こうして僕らは自分たちの逃げ道として世界一周という名案を思いつくに至り、それを実行することを決めた。

 


つづく...

 

 

*次の話はこちら。

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